楽器と人

エッセイ





楽器を弾くことは、楽しいですよね。

楽器は、心を込めて弾くと、ちゃ〜んと反応してくれますから!

「音楽」は、
「音」を「楽」しむ、と書きます。
音楽の「楽」は、” 楽しい ”という字で、
学問の「学」、学ぶという字ではないことからも、
「音を楽しむ」ものなんです。

そして音楽は、聞いているだけでも楽しいですが、
楽器を弾いたり、歌ったりすると、更に楽しいですよね。

楽しいと、練習もはかどりますし、
聞いてくれる人にも、その楽しさが伝わります。

そういえば、
歌手の平原綾香さんは、
お父様でサックス奏者の平原まことさんから、
「練習は、裏切らない」
と言われて練習してきたといいます。

本番で緊張していても、環境が悪くても、
練習してきたことは必ず自分を助けてくれるのだと。
大人になってその言葉が身にしみたといいます。

以前、私のラジオ番組にゲストでお越し下さった時に伺ったエピソードです。


練習してきたことは、1番の支えになります。
自信になります。
逆に、練習してこなかった結果も、ハッキリと出てしまいます。

もちろん、練習しても、思い通りに上手くなるとは限りませんが、
少なくとも、練習しなくても自動的に上手くなることは、絶対にありません。

そこは、非常に正直で、嘘偽りのない世界です。




ところで、私は仕事柄、どんな楽器が良いかを相談されることがあります。

楽器選びに付き合ったり、
楽器のセレクトのために、スタジオでレコーディングしてみて
客観的に聞くお手伝いをすることもあります。

もちろん、専門的な意見もお伝えしますが、
最終的には、

自分の気持ちを込められる楽器が、イイ楽器ですよ
とお答えしています。

演奏者が、気持ちよさそうに弾いている楽器が
一番イイ楽器なのです。

著名なブランドの楽器だから良いとか、
高価だから良いとは限りません。

楽器は、反応が悪いと練習がイヤになりますから、
自分の好みの楽器が一番よいのです。

音色が好きだったり、演奏がしやすかったり・・・

そして、手触りや見た目も大切です。

自分が触るたびに、イイ楽器だなぁと思える方が楽しいし、
練習したくなるものです。

ステージに立つ時だって、他人に見せびらかしたり、
自慢できるじゃないですか!




と、こうやって話してると、
楽器の選択や、楽器との付き合い方と
人間関係って、けっこう似ていると思いませんか?

仕事関係や仲間同士、恋人同士やご夫婦など、
どんな人間関係でも、
自分の気持ちを受け止めてくれる人がいいですよね。

楽器も、人間も、関係を健全に保つには、
どちらも、育てることが大事です。
できるだけ沢山、一緒の時間を作ることも大切だと思います。

寄稿:
伊藤 圭一(いとう けいいち)
サウンドエンジニア&プロデューサー、Kim Studio主宰、(株)ケイ・アイ・エム代表。音を自在に操りヒット作を作り出す「音の魔術師」。斬新なアイディアと先見の明により多くの企業や組織、音楽家を成功に導く、エンタメ界の影の仕掛け人。音響メーカー顧問、洗足学園音楽大学教授、公益財団の理事、著書『歌は録音でキマる! 音の魔術師が明かすボーカル・レコーディングの秘密』

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