以前、病室のナースコールの音があまりにもひどい音だ、
という話をしたところ
さまざまな反響をいただきました。
病院の建物や設備の立派さに比べて、
ナースコールの音声回線があまりにも音が悪くて驚いた・・・
というお話をしたのですが、
これに共鳴してくださった方があまりにも多くて
これにまた、驚きました。
中には、病院のベッドの上から、
メールを下さった方もいらっしゃいました。
いくつか紹介してみましょう。
「言われてみたら、毎回その声に驚いていることに気付きました。
食事の用意ができたというアナウンスに、
どうして毎回驚かなきゃならないんだろう。」
「音の悪さにイラつきます。」
「あの音は、神経を逆なでします。」
「あの嫌な音は、退院した今も、嫌な記憶として残っています。」
「割れた音で、自分の名前を呼ばれることに慣れてしまっていましたが、
確かにおかしいですね。」
それから、こんなメールも頂きました。
「ナースコールの音の悪さに驚いたとおっしゃっていましたが…
私も7年前、母が入院していた病院で、同じことを感じていました。
母が点滴が終わった時に、針を抜いてもらうのに、
ナースコールのボタンを押して、看護師さんをお願いすると、
びっくりするような音で、雑音も混じって、
「はい、直ぐにいきます!」
と返事が返って来て、不快に感じたものです・・・
病人ばかりいる場所なのにね。
その時は、もう少し耳に優しい音だったらいいのになぁ、
と不満を感じたものの、
ナースコールはそんなものだと思い込んでいたように思います。
もっと綺麗な音だったり、素敵な音楽が流れたら、
病も少しでも早く治りそうなのにね!」
というメッセージです。
もし、病院関係者の方が聞いて下さっていたら、
是非、改善してあげてください。
そして、この反応は、病院だけに留まらず、
他の環境でも同じだ、というメッセージを頂きました。
「待合室で待たされているとき、
悪い音で自分の名前を呼び出されると、
それだけで、ガッカリして、帰りたくなります。」
「学校の教室の校内放送も、
もっと良い音で聞かせてあげたい。」
などなど・・・
そういった意味では、
昔の、ブラウン管のテレビと比べると、
液晶テレビの音は、極端に悪くなっていることをご存知でしょうか?
ボディを薄くすることにより、
スピーカーを納めるスペースが無くなってしまったからです。
また、大きなボディが共鳴箱となり、豊かな低音を響かせることができたのですが、
薄さを競うテレビでは、不可能です。
携帯電話の音では、言わずもがなです。
怖いのは、その薄っぺらい音に、
皆さんの耳が慣れてしまったことです。
そして、いつのまにか、そこに疑問さえ感じず、
毎日毎日、その悪い音を聞いて過ごしていることです。
実は、その音のせいで
精神状態が不安定になったり、イライラしていることに
気付かないでいることが、残念でなりません。
コロナ禍で、配信コンテンツなどを大型画面で見るという需要が増えました。
であれば、音も、それに相応しい大型のスピーカーを繋いで
聞くようにしたいものです。
私が空間演出を手掛ける際に、信頼するスピーカーもありますが、
ご自身の耳でも確かめてみて、
心地良いサウンドを聞かせてくれるスピーカーを
繋いでみて下さい。
美しい音、美しい音楽を聴いて過ごすと、
人生が豊かになりますよ。
寄稿:
伊藤 圭一(いとう けいいち)
サウンドエンジニア&プロデューサー、Kim Studio主宰、(株)ケイ・アイ・エム代表。音を自在に操りヒット作を作り出す「音の魔術師」。斬新なアイディアと先見の明により多くの企業や組織、音楽家を成功に導く、エンタメ界の影の仕掛け人。音響メーカー顧問、洗足学園音楽大学教授、公益財団の理事、著書『歌は録音でキマる! 音の魔術師が明かすボーカル・レコーディングの秘密』