一人一人に音楽を

エッセイ




インターネット市場では、
買い手が1人しかいない製品を1万種類売れば、
1万人が買うヒット商品と同じ売り上げになる、という
「ロングテール」理論なるものがあります。

これを音楽に当てはめて考えてみましょう。

音楽を聴いて感動するのは、
聴く人の経験と深い関係にあります。
それまでに聞いてきた音楽との照らし合わせによって、
その音楽が持つイメージを、その人なりに感じ取るのです。

ですから、
同じ音楽を聴いても、
それをどう感じるのかは、
一人一人違うわけです。


ロックのカッコ良さに惹かれて音楽が好きになった人、
クラシックが最良の音楽だと教えられて育った人、
家の中で民謡を聞いて育った人。

そんな人たちが、同じ音楽を聴いても、
同じ感想を持つはずはありません。

ですから、

同じ曲を沢山の方に聞いて頂ける事も
幸せな事ですが、

一人一人のために、
その人に、最も喜んでもらえる音楽が提供できたなら、
こんなに素晴らしい事はないでしょう。

寄稿:
伊藤 圭一(いとう けいいち)
サウンドエンジニア&プロデューサー、Kim Studio主宰、(株)ケイ・アイ・エム代表。音を自在に操りヒット作を作り出す「音の魔術師」。斬新なアイディアと先見の明により多くの企業や組織、音楽家を成功に導く、エンタメ界の影の仕掛け人。音響メーカー顧問、洗足学園音楽大学教授、公益財団の理事、著書『歌は録音でキマる! 音の魔術師が明かすボーカル・レコーディングの秘密』

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