49%で十分

エッセイ



( ラジオNIKKEI でのトークより )


先日の放送で、
「いつ音楽が完成したと考えるか?」
というお話をしたところ、
いろんな意見をいただきました。

誰かに聞いてもらって、感動してくれた時に
音楽が完成した、と考える方が一番多かったようです。

確かに、
「誰かのために」
この精神は、とっても大切だと思います。

一人一人が、自分の目的に向かって生きているだけでは、
社会は成立しません。

自分が嬉しいことと、相手が喜ぶこと、
このバランスが大切でしょう。

他人との関わりが難しい時代ですから、
なおさらです。

でも、
そのバランスを健全に保つ、
簡単な方法があります。





自分が嬉しいことよりも、
相手が喜ぶことを、ちょっとだけ多くしてあげればいいのです。

1%でもいいから、与えるものを多くすれば、
平和なんです。

100%のうち、自分は49%で我慢して、
相手に51%与えたなら、
その関係は、成立します。

逆に、みんなが、
相手よりも1%でも多く取ろうとしたら、
その社会は、成り立たなくなってしまいます。

すべて自分を犠牲にして
相手のために、
誰かのために、
などと考えていたら、
疲れ果ててしまうでしょう。

だから、無理せず、1%でいいんです。


その一方で、
一人の時間も大切です。

一人でいる時間の過ごし方こそが、
人生を豊かにするかどうかを、左右しているように思います。


せめて、この番組を聞いている2時間くらいは、
思いっきりのんびりしてもらえたら、嬉しいです。

そして、ちょっと元気になったら、
また明日から、
頑張りましょうよ。

寄稿:
伊藤 圭一(いとう けいいち)
サウンドエンジニア&プロデューサー、Kim Studio主宰、(株)ケイ・アイ・エム代表。音を自在に操りヒット作を作り出す「音の魔術師」。斬新なアイディアと先見の明により多くの企業や組織、音楽家を成功に導く、エンタメ界の影の仕掛け人。音響メーカー顧問、洗足学園音楽大学教授、公益財団の理事、著書『歌は録音でキマる! 音の魔術師が明かすボーカル・レコーディングの秘密』

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